中村区増築工事
2012年8月〜9月
今回は増築工事です。お子様三人のための子供部屋を作ります。
確認申請などで手続きの楽な離れを作る形となりました。
それではまず土台ふせからです。
朝材料が到着しました。
まずは下準備。基礎に墨出しをして・・・
床を支える大引きにシロアリ防止と防腐のために薬品を塗布します。
大引きは桧ですから元々シロアリや腐りには強いのですが、目の届かない床下なので
塗布しておいた方が安心です。土台は防腐剤を注入した防腐土台なので心配ないです。
そして、基礎の上に基礎パッキンを敷きます。
柱やアンカーボルトの下のみの施工方法もありますが、今回は全体に敷き詰める工法です。
前者の場合ネズミの侵入を防ぐ網(防鼠材)が必要ですが、この方法では不要ですし、
何も考えず全体に敷き詰めればよいので施工は案外楽です。
1階床は厚い合板を貼り、根太は使用しないので土台を止めるアンカーボルトはこのような
ナットで取り付けます。座堀の必要が無く座金も兼ねているのでありがたいです。
そんなこんなで床下地組上げました。
(この時点では鋼製束の調整がまだなので宙に浮いていますが)
そして床下断熱材の設置
グラスウールとスタイロフォーム
(発泡スチロールの固いようなやつ)
どちらを使うか一長一短ですが、
今回は安価なグラスウール系です。
グラスウールの方が建物が呼吸できて
良いような気がするんですけどね。
そして床板の取付です。
床下地の合板の取付はN75の釘を使います。
いや、手打ちで釘打つのは仮止め程度でほとんど機械打ちですけど。
機械打ちの方はCN75を使いました。N75より少し太くて丈夫です。
このCN75は青色で塗装されていますが、N75は確か緑色です。
これ、スクリュー釘が丈夫だと思って使う人もいるようですが、それは規格外です。
釘そのものの剪断応力が足らないので、弱いと判断されます。
床下地の合板を釘打ちして完了。
後は養生用のビニルシートを貼って今日は完了です。
−材料−
今日は明日の建て方の準備です。
朝9時に材料到着
まず柱に防蟻防腐処理を施します。
柱を立ててしまうとほぞの周りには塗布できませんからね。
透明な材料を塗っているのでどの程度塗れたか分からないのが残念です。
先行足場を組んで少し雨が降りそうな予報もあったのでしっかり養生します。
−建て方−
本日は建て方でした。
小さな平屋なので大工3人でレッカー車無しです。
それでも10時にはここまでできました。
どうも天気が怪しいのが心配です。
少しパラパラと降ったけど大きく天気が崩れなくて良かったです。
ここで豆知識
柱のシール、よく見ると逆さまですね。
これは柱が逆さまに立っている訳ではないです。
材木は木の状態の時に根っこだった方を「元」梢側を「末」と言います。
材木店などではお客様に柱を確認してもらうために立てて保管することが多いです。
その場合により品質の良い「元」を上にして保管します。その状態で柱の印字(材質やサイズなど)が普通に読めるように書いてあります。
柱を実際に立てるときには元を下にするため印字は上下逆となってしまいます。
まあ、集成柱の場合はどちらでも良いでしょうが伝統を大切にするとシールもやはり逆さまになるわけです。
閑話休題
工事は屋根へと進んでいきます。
とりあえず屋根裏の物入れです。
垂木はビス締めです。
タルキックなる垂木専用ビスを使用しました。
これを使えばひねり金物やくら金物は不要です。
お昼にはここまで進みました。
屋根は通気層を設けた2重構造です。
屋根が終わって本日の作業はここまで!
養生をして終了です。
−構造用金物など−
さて、無事建て方が終了して次の仕事に入ります。
まずは、柱などの端部が抜けないように各種金物の取付です。
一般的な柱はこのような金物を上下に取り付けます。
実際には平屋であるためにこのプレートでなくても鎹(かすがい)でOKな柱もありましたが、すべてこの金物を取り付けました。
力のかかる角の柱は基礎に埋め込んだこのような金物で固定します。
実は平屋であるため15kg/Nで良いため、下のような金物を上下に付ければ問題ないのですが、やはり視覚的に頼りなく思えてしまいますから基礎埋め込みにしました。
内部の柱はこのような金物で緊結します。
この建物はスジカイなしの建物です。ではどのようにして地震や台風の力に耐えるのでしょうか?答えは耐力面材を使用します。
よく使われるのは構造用合板ですが、今回はダイライトなる製品を使用しました。
外壁がガルバリウム鋼板であるため、防火性のある材料を下地に貼らなければなりません。
構造用合板を使用した場合、その上にプラスターボードなどを貼り、隣家の火災などから建物を守る必要があります。ダイライトの厚さ12ミリを使用すればそのプラスターボードは不要となります。また、構造用合板に対して防腐処理をする必要がありますが、それも不要となります。さらに強度の指標となる壁倍率は合板の2.5倍に対して3倍で計算できます。
材料代は倍以上ですが、メリットを考えるとリーズナブルと判断しました。
−透湿防水紙−
さて、外壁全部にダイライトを貼り付けた後は「透湿防水紙」を貼ります。
読んで字のごとく湿気は通して水は通さない優れものです。
結露の原因となる湿気は通すが外部からの雨水は通さないそんな目的があります。
実際には外壁の施工が完璧ならば雨水は入らないのですが、万が一のためこのような物を貼るのが普通になりましたね。昔のトタン貼りの家にはこんな物貼ってありませんでした。
トタンを取り付ける胴縁をその上から打ち付けました。外部ですから桧の胴縁を使用しています。
胴縁の上に防水紙を貼った方が好ましいような気がしますが、ダイライトがぬれるのは好ましくないですから。それに対して胴縁は桧なので少しくらい濡れても大丈夫ですし、外壁が貼れれば水は浸入しないのですからね。
その後はサッシ枠の取付です。
廻りは防水テープを貼り付けます。
全体に色がグリーンかかっている?
養生シートがグリーンですからね。
−断熱工事−
現場にはなにやら多くの機材を積んだトラックが来ています。
これは何かというと・・・。
断熱工事の業者さんです。
今回、発泡ウレタン吹き付けの工法を採用しました。
グラスウール充填やスタイロフォームなどより気密性が高く、断熱効果が高いのです。
写真は屋根裏の物入れですが、暑い時期の工事ですが屋根からの熱気はほとんど感じませんでした。
−電気工事など−
断熱工事が終わったら電気工事です。
先に配線した方が楽に思えますが、後からウレタンを吹き付けると前縁が悪くて困るとか・・・
電気工事か終わると壁下地のプラスターです。
−建具枠−
さて、現場を離れて加工場で作業です。
注文しておいたベイツガをまずは削ります。
溝を付けて白く塗ります。(写真は撮ってありませんが、きっちり手鉋で仕上げました。)
組み立てて屋根裏物置の建具枠の完成です。
既製品では対応できないので枠も建具もオーダーメイドです。
いつも疑問に思うんだけど、加工場のない建築屋は新築にしろリフォームにしろこういったケースはどのように対応するんでしょうね。
−かなり進みました−
内装工事どんどん進んでいます。
そして外装工事はほぼ完了です。
デザインは既存の母屋に合わせるのが第一条件です。
−梁の塗装−
室内に見えている梁はそのままでは汚れが付いてしまうので塗装しました。
天然素材系の油です。
色はクリアで透明ですが、素の色に対して濡れた感じになるので色は濃くなります。
−完成−
クロスと電気工事が終わり完成しました。
南側奥の部屋へと続く廊下
奥の部屋の1本引き戸
2部屋を仕切る2本引き込み戸
引き込み戸開放
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