1 大工に直接頼んだ方が安い?
昔から小規模工務店のうたい文句としては宣伝費や営業の社員、果ては現場監督がいない分安くできる・・・。
そんなことが言われていました。でもこれは言っている人の知識が足りないか、もしくは自分に不都合なことを隠しているといえます。
確かに、規模が小さくなるほど必要な経費の割合は少なくなりますが、材料に関しては規模が大きいほど大量仕入れでコストを抑えられることを忘れてはいけません。
また、各下請け業者さんに対しても継続的に仕事があることで通常より安く発注できる強みもあります。
「現場監督がいない」これも間違いです。
現場を取りまとめる監督者がいなければ工事を進める事ができません。
現場監督と呼ばれる人がいないだけで、普通は大工の棟梁が兼任しています。
当然そこには何らかの報酬が発生するのですから、割安にできてもなくす事ができません。
ただ、いくつもの現場を同時に受け持つ現場監督よりも、その現場に常駐している大工さんの方が「その家」についてよく知っていると言えますし、いくつもの現場を走り回る無駄を削減できる利点は重要です。
もちろん大工の棟梁がしっかりしていないと大変ですが・・・
このような理由から、私は価格的に大きな差は生まれないと考えています。
ただし、大量仕入れ故にお客様にとっては製品の選択肢が少なくなる弊害が生まれます。
また、最近は過剰な下請け叩きが原因で各業者さんの工事品質低下も懸念されます。
大量生産大量消費をベースとし今まで突っ走ってきた世界経済ですが、すでにそのシステムは破綻しかけています。
価格のみにとらわれず、心を込めた手作りの家を考えてみませんか?
2 要望が伝わらない
ハウスメーカーなどの場合、工事中お客様の思いつきで生じたちょっとした変更などもそれなりの手順が必要になります。
現場を担当している監督さんに伝えられれば幾分ましでしょうが、営業さんを通す必要があることもあるかと思います。
より多くの人を通すほど必要な情報は歪められ伝わるのに時間が掛かる可能性があります。
例えば、窓を少しだけ大きくしたい、なんて要望が出た場合、現場に工事に対するすべての権限を有している「棟梁」が常駐する大工直営店であればその場で発注の変更やサッシを取り付ける枠の変更ができますが、例えば現場の大工さんに要望を伝えても監督さんや営業さんの許可がないと行動できない場合、連絡が遅れて外壁を貼ってしまって対応できなかったなんてこともあるかと思います。また、窓を下に20センチ大きくするか上に20センチ大きくするか連絡が伝わる間に逆になるなんてことあるかもしれません。
また、ちゃんとした建築知識のない営業さんに要望を伝えて対応可能と返事をもらっても、後で現場の方へ確認を取ったら対応不可能との連絡があることも・・・。
また窓の話で恐縮ですが、窓の幅を広げる場合、構造的に重要な柱が関係するので簡単には対応できない場合が多いです。
棟梁がその場にいれば変更に関する予算なども即決できることも多いですし、思い通りの家が造りやすいです。
3 まとめ
「大工直営」のお店に頼めば、製品の(デザイン等の)融通や、「こうしたい」「ああしたい」が自由自在に頼める可能性が高いです。
常駐する「棟梁(現場監督)」が現場に立っている「大工さん」だったら、変更点を間違いなく伝えることも出来ます。
「価格だけ囚われず」心を込めた手作りの家っていいですよね!
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